通訳 ディエゴ・マラー二
なんとも奇妙な小説だ。
イタリア語からの翻訳ということで興味を持った。
翻訳小説特有の言い回し、というよりイタリア語独特の修飾の多い文章。
それなのに読みにくい感じがしないのは、訳者の技術だろう。
とにかくわけが分からない、そして最後はちょっと肩透かし。今まで人殺しや強盗までしてきた主人公は一体何?
物語の核はもともと同じ言葉を話していた人類が「バベルの塔」によって違う言葉を話すようになったこと。その最古の共通言語を取り返す手段は?
訳者は言う
「読み終えたときには、外国語を身につけることもまた、自分で選択できない母語と同じくらい運命的な出会いであり、言語を選んだつもりでいる人間が逆に言語に選ばれているという思いが強くなるのではないだろうか。」
私がイタリア語を話すことになったのも、そうなのか?
とにかく奇妙な作品だった。
★☆☆